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相続した不動産はどうする?売る・残す・貸すの判断基準

7月27日
読了時間: 10分

更新日:5 日前

親の実家や土地、マンションなどを相続したものの、「誰も住まない家をどうすればよいのか」「すぐに売った方がよいのか、しばらく残すべきか」「売らずに賃貸へ出した方が得なのではないか」と迷う方は少なくありません。

相続不動産には、大きく分けて「売る」「残す」「貸す」という3つの選択肢があります。

大切なのは、最初から「相続したら売る」「不動産だから残す」と決めてしまわないことです。利用予定、維持費、修繕費、相続人の意向、売却した場合の手取り、賃貸した場合の収支などを同じ条件で比較すると、判断しやすくなります。

この記事では、相続した不動産をどうするか迷っている方に向けて、売却・保有・賃貸の違いと、判断前に確認したい資料・手続き・期限まで整理して解説します。


この記事の結論

相続した不動産をどうするかは、「具体的な利用予定」「年間の維持費」「売却・賃貸した場合の手取り」「相続人の意向」を並べて判断します。

使う予定がなく、収益もなく、税金・管理・修繕の負担だけが続くのであれば、早めに売却を比較する合理性があります。一方、利用者と時期が具体的で、費用負担や管理方法まで決まっているなら、残す選択肢もあります。



相続した不動産は「売る・残す・貸す」の3つから考える

相続した不動産の選択肢を比較すると、次のようになります。

比較項目

売る

残す

貸す

主な目的

現金化・負担整理

居住・将来利用・資産保有

賃料収入・将来利用

維持費

引渡し後は原則不要

継続して発生

継続して発生

管理

売却完了まで

継続

建物・入居者管理が必要

相続人間の調整

売却条件・代金分配

利用者・費用負担

収入・支出・管理担当

主な注意点

売却価格・税金・期限

目的のない長期保有

空室・修繕・初期費用

「売らない方が得」「貸せば家賃が入る」と一つの要素だけで決めるのではなく、費用、時間、手間、家族の意向まで含めて比較します。


相続した不動産を早めに売ることを検討したいケース


誰も住む予定がない

最も分かりやすいのが、相続人の誰も利用する予定がないケースです。

「いつか子どもが住むかもしれない」という可能性だけで残すと、その間も固定資産税・都市計画税、火災保険料、管理費、修繕費などがかかります。

利用予定が具体的でなければ、まず現在の査定価格と年間維持費を確認し、何年保有するとどの程度の負担になるかを数字にします。


維持費・管理負担が大きい

不動産は使っていなくても費用が発生します。戸建てであれば庭木、清掃、雨漏りや外壁などの修繕、マンションであれば管理費・修繕積立金も考える必要があります。

相続した実家が空き家になっている場合は、費用だけでなく、建物の劣化、防犯、近隣への影響も確認します。


相続人が現金で分けたい

不動産は現金と違い、そのまま均等に分けにくい財産です。兄弟姉妹など複数人で取得する場合は、共有名義にする方法もありますが、将来の売却・賃貸・大規模修繕などで意向調整が必要になることがあります。

一人が不動産を取得して他の相続人へ代償金を支払う方法や、売却して現金で分ける方法もあるため、最初から共有にする前に比較しておくことが大切です。


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相続した不動産を残す選択肢があるケース


自分や家族が住む予定が具体的に決まっている

「3年後に子どもが住む」「親族が住み替える」など、利用者・時期・目的が具体的なら、残す選択肢があります。

ただし、その間の維持費、修繕費、管理担当まで決めておく必要があります。


土地や建物に明確な利用価値がある

駐車場として使う、事業用地として使う、親族が利用するなど具体的な用途がある場合も保有を検討できます。

「値上がりするかもしれない」という期待だけではなく、保有中にどのような価値を生むのかを確認します。


維持・修繕を無理なく続けられる

残す場合には、今の費用だけでなく、今後5年程度で必要になりそうな修繕まで確認します。屋根、外壁、給湯器、水回り、給排水管など、建物の状態によって費用は変わります。



「売らずに貸す」は本当に得なのか

相続した実家について「売るのはもったいないので、とりあえず貸そう」と考えることもあります。

ただし、賃貸できることと、賃貸した方が得であることは別です。

例えば月10万円で貸せても、年間120万円がそのまま利益になるわけではありません。管理委託料、固定資産税、保険、修繕、設備交換、募集費用、空室期間などを差し引いて考えます。

さらに、貸すために大きなリフォーム費用が必要なら、その費用を何年で回収できるかも確認します。

「想定賃料」ではなく「年間で実際にいくら残るのか」を、売却した場合の手取りと比較することが重要です。


売る・残す・貸すを決める7つの判断基準


1.誰が、いつ、何のために使うのか

「いつか使う」ではなく、利用者・開始時期・利用目的を具体化します。決められない場合は、半年後・1年後など再判断する時期を決めます。


2.年間の維持費はいくらか

固定資産税、都市計画税、保険、管理費、修繕積立金、庭木、清掃、交通費などを1年分で集計します。


3.今後どのような修繕が必要か

現在の不具合だけでなく、今後5年程度で想定される工事と概算費用を確認します。


4.売却した場合、手元にいくら残るか

査定価格だけでなく、仲介手数料、測量、残置物処分、解体、登記、税金などを差し引いた手取りで考えます。不動産売却で利益が出る場合は、譲渡所得税の確認も必要になることがあります。


5.賃貸した場合、手元にいくら残るか

満室時の賃料ではなく、空室、管理、修繕、設備交換を含めた年間手取りを確認します。


6.相続人全員の考えは一致しているか

売る・残す・貸すという結論だけでなく、費用負担や管理担当についても確認します。すでに複数人で所有している場合は、誰がどの割合を持っているか共有持分も確認します。


7.判断や売却に関係する期限はあるか

不動産を相続した場合は、相続登記の状況を確認します。2024年4月1日から相続登記が義務化され、原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。

また、相続税の申告が必要な場合には原則10か月以内という期限があります。相続した空き家を売却する場合には、一定の要件を満たすと譲渡所得から控除を受けられる特例もあります。

「今すぐ売るか決めない」場合でも、手続きや税制の期限だけは先に確認しておきましょう。


判断する前に用意したい確認資料

「売る・残す・貸す」を比較するには、感覚だけでなく資料をそろえると判断しやすくなります。全部そろっていなくても構いません。まず、手元にある資料と未確認の事項を分けます。

確認資料

主に確認できること

現在の所有者、共有者、持分、抵当権など

固定資産税納税通知書・課税明細書

固定資産税・都市計画税、評価額

誰が不動産を取得する予定か、分け方が決まっているか

建物図面・公図・測量図

土地・建物の基本情報、境界確認の手掛かり

管理費・修繕積立金の資料

マンション等の年間維持費

修繕履歴・見積書

今後の修繕負担

賃貸査定

貸した場合の想定賃料・収支

売却査定

売った場合の概算価格・手取り検討の基礎

登記事項証明書を確認した結果、名義が亡くなった親や祖父母のままになっていることもあります。その場合でも査定や売却条件の整理は進められますが、最終的に買主へ所有権を移転するまでには、原則として現在の取得者への相続登記が必要です。


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ケース別|相続した不動産をどうする?


誰も住まない古い実家

利用予定がなく、維持費と管理だけが続くのであれば、売却を優先して比較します。片付けや解体を先に行わず、現況のまま査定を受けてから判断する方法もあります。


数年後に子どもが住む予定

利用時期が具体的で、それまでの管理費や修繕費を負担できるのであれば、残す選択肢があります。


駅近のマンション

賃貸需要があり、管理状態も良ければ賃貸も選択肢です。売却した場合の手取りと、賃貸した場合の年間手取りを比較します。


兄弟の一人だけが実家を残したい

一人が不動産を取得して他の相続人へ代償金を支払う方法などがあります。兄弟の一人が既に住んでいる場合は、現在の名義、居住の経緯、費用負担なども整理します。


境界・私道・再建築などに問題がある

問題がある不動産でも、必ずすべて解決してからでなければ売却できないわけではありません。権利関係や現況を整理し、現況売却を含めて方法を比較します。



すぐに決められない場合は「何もしない」にしない

相続直後で気持ちの整理がつかず、すぐに売却を決められないこともあります。無理に結論を出す必要はありません。

ただし、次の事項だけは決めておくと、放置になりにくくなります。

  • 誰が鍵を管理するか

  • 誰が建物を定期確認するか

  • 税金・保険・管理費を誰が負担するか

  • 修繕が必要になった場合に誰が判断するか

  • 半年後・1年後など、いつ再検討するか

「保留」と「放置」は違います。結論を先送りする場合でも、管理方法と再判断時期は決めておきましょう。


よくある質問

相続した不動産はすぐ売った方がよいですか?

必ずしもすぐ売る必要はありません。具体的な利用予定、維持費、修繕費、管理方法、売却した場合の手取りを比較して判断します。

相談や査定、物件調査は可能です。ただし、故人名義から買主へそのまま所有権を移転することはできないため、原則として決済までに相続登記を完了させます。

残すこと自体は可能ですが、税金、保険、管理、修繕、防犯などの負担があります。誰が管理するのか、費用を誰が負担するのかまで決めておくことが大切です。

売却は可能ですが、入居者がいる状態では買主の層や価格の考え方が変わることがあります。貸す前に将来の売却可能性まで確認しておくことをおすすめします。

査定価格だけでなく、維持費、修繕費、賃貸収支、売却後の手取りなど共通の数字を整理して話し合うと、争点を分けやすくなります。

まとめ|相続した不動産は「使う予定・費用・手取り」で判断する

相続した不動産をどうするかは、「売った方が得」「不動産だから残した方が得」と一律には決められません。

具体的な利用予定があり、維持費や修繕費を負担でき、管理方法も決まっているのであれば、残す選択肢があります。一方、誰も使わず、収益もなく、管理する人も決まっていないのであれば、保有を続ける負担を数字で確認した方がよいでしょう。

まずは、売却した場合の手取り・保有した場合の年間費用・賃貸した場合の年間手取りを同じ表に並べて比較します。

相続人の意向、名義、権利関係、建物の状態、期限のある手続きまで一緒に整理すれば、「今売る」「一定期間残す」「貸す」といった方向性を判断しやすくなります。


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著者:櫻井佑樹

さくら都市デザイン株式会社 代表取締役・宅地建物取引士





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「まだ売るか決めていない」「兄弟で意見がまとまっていない」「売った場合の金額だけ先に確認したい」という段階でもご相談いただけます。

分からない項目は「未確認」のままでも構いません。確認済みの事実と、今後調べる事項を分けるところから進められます。






公的情報で確認する

※制度や特例の適用可否は、相続開始時期、遺産分割、建物の状態、売却時期などによって異なります。個別の登記は法務局または司法書士、税務は税務署または税理士へご確認ください。











 
 
 

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