相続した実家に兄弟の一人が住んでいる場合は売却できる?
- 7月30日
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相続した実家に兄弟の一人が住み続けており、ほかの相続人が売却を希望しても話が進まないことがあります。
住んでいる兄弟からは「長年ここで暮らしている」「親の介護をしてきた」「急に出ていく場所がない」と言われる一方、ほかの兄弟は固定資産税や修繕費の負担、空き家になる将来、相続分の精算を心配しているかもしれません。
相続人の一人が実家に住んでいるだけで、その人が当然に不動産全体を取得するわけではありません。しかし、ほかの相続人だけで勝手に売却したり、直ちに退去を求めたりできるとも限りません。居住を始めた経緯や親との合意、現在の名義、遺産分割の状況によって判断が変わります。
この記事では、兄弟が住んでいる相続不動産を売却できる条件、使用料・維持費の考え方、居住者が取得する方法、退去と売却を進める場合、話合いがまとまらない場合の手続きを解説します。
この記事の結論
兄弟の一人が住んでいる相続不動産でも、相続人全員が合意し、居住者との退去・引渡し条件を整理すれば売却できます。
ただし、居住者を除いた相続人だけで不動産全体を売ることはできません。遺産分割前なら取得者や売却方法について相続人全員の合意が必要で、共有名義になっている場合も全体売却には共有者全員の協力が必要です。
最初に、誰の名義か、いつから誰の許可で住んでいるか、家賃の約束があるか、税金・修繕費を誰が負担しているかを確認します。
解決方法は、全員で売却する、居住中の兄弟が実家を取得してほかの相続人へ代償金を支払う、退去期限を決めて一定期間住み続ける、賃貸借などの条件を改めて決める方法があります。

住んでいる兄弟が自動的に所有者になるわけではない
実家に長く住み、光熱費や固定資産税を支払っていても、それだけで不動産全体の所有権を取得するわけではありません。
所有者や持分は、遺言書、遺産分割協議、相続登記の内容で確認します。遺産分割が終わっていなければ、実家は原則として共同相続人が法定相続分に応じて権利を持つ状態です。
一方、親と同居していた兄弟については、親の許可に基づき無償で住んでいた事情から、遺産分割が終わるまで使用貸借関係が続くと判断される場合があります。そのため、相続が発生したからといって、直ちに鍵を交換したり、荷物を処分したりすることは避けるべきです。
居住する権利があるかは、同居開始の経緯、親との約束、賃料の支払い、遺言書などを個別に確認します。
最初に確認する5つのこと
兄弟へ退去や売却を求める前に、事実関係を整理します。
1.現在の登記名義 故人名義のままか、兄弟の共有名義か、一人の単独名義かを登記事項証明書で確認します。
2.居住を始めた経緯 親と同居していたのか、相続後に住み始めたのか、家賃や退去時期の約束があったのかを確認します。
3.遺言書・遺産分割の状況 実家を取得する人が指定されているか、遺産分割協議が成立しているかを確認します。
4.費用負担 固定資産税、火災保険、修繕費、光熱費、管理費を誰が支払っているか、領収書や振込記録を整理します。
5.今後の希望 居住者が住み続けたい期間、取得希望、代償金の支払能力、ほかの相続人の売却希望時期を確認します。
住んでいる兄弟へ使用料を請求できるか
相続人の一人だけが実家全体を使っていると、ほかの相続人から「自分の持分もあるので使用料を払ってほしい」という意見が出ることがあります。
ただし、使用料を当然に請求できるとは限りません。親との間に無償で住む合意があったと判断される場合や、相続人間で無償使用を認めていた場合は、請求が難しいことがあります。
反対に、遺産分割後も取得者以外が住み続けている、無償使用の合意が終了している、ほかの共有者の使用を排除しているなどの事情があれば、使用利益の精算が問題になる場合があります。
使用料だけを先に請求すると関係が悪化しやすいため、居住期間、維持費、修繕費、将来の取得・退去条件をまとめて協議することが重要です。

居住者が税金や修繕費を払っている場合
住んでいる兄弟が固定資産税や修繕費を負担していても、その支払いだけで所有権や持分が増えるわけではありません。
ただし、共有者全員が負担すべき費用を一人で支払ってきた場合は、遺産分割や売却代金の精算時に考慮する余地があります。
日常的な光熱費や、居住者だけが利用するための修繕費は、居住者自身の負担と考えられることがあります。一方、建物全体の維持に必要な屋根修理や保険料などは、相続人間で負担方法を話し合います。
費用の種類、金額、支払日、目的を一覧にし、領収書や振込記録を残しておきましょう。
解決方法1|相続人全員で売却する
相続人全員が売却に合意できる場合は、居住者の退去時期、家財の処分、引渡し条件を決めて売却します。
査定前に退去する必要はなく、居住中でも机上査定や現地確認は可能です。ただし、購入希望者の内覧や引渡しには居住者の協力が必要になります。
売却価格だけでなく、引越費用、残置物処分費、測量・修繕などの費用を誰が負担するかも決めます。
居住者の転居先が決まるまで時間が必要な場合は、販売開始日、退去期限、決済・引渡日を無理のない日程で設定します。
解決方法2|住んでいる兄弟が実家を取得する
居住者が住み続けたい場合は、その兄弟が実家を単独で取得し、ほかの相続人へ代償金を支払う代償分割を検討できます。
実家の評価額を決め、居住者の相続分を差し引いた金額を基に代償金を計算します。評価方法は複数社の査定、相続税評価額、固定資産税評価額などがあり、目的に合う方法を相続人全員で合意します。
代償金を支払う資金がない場合は、住宅ローンや親族間の分割払いを検討することがあります。ただし、長期分割は未払いのリスクがあるため、期限や担保を含めて専門家へ相談します。
取得後の税金、修繕、将来の売却は取得者が負担することも書面に残します。
解決方法3|期限を決めて住み続ける
すぐに退去できない場合は、一定期間の居住を認め、期限後に売却・取得を再検討する方法があります。
この場合は、居住期限、使用料の有無、税金・修繕費、家財管理、第三者を住ませないこと、期限後の対応を書面にします。
期限を決めずに「しばらく住んでよい」とすると、数年後も同じ問題が残りやすくなります。半年後や1年後など、再協議する日を具体的に設定します。
居住中に査定や必要書類の確認を進めておけば、期限後の売却や代償分割へ移行しやすくなります。

退去を求めるときに避けたいこと
居住者の同意なく鍵を交換する、電気・水道を止める、家財を外へ出すなどの行為は避けてください。
また、退去期限や条件が決まっていない状態で買主と売買契約を結ぶと、予定どおり引き渡せず、契約違反になる可能性があります。
退去を求める場合は、居住の法的根拠を確認したうえで、転居までの期間、引越費用、家財処分、明渡し日を協議します。
話合いが難しい場合は、早めに弁護士へ相談し、感情的な対立を避けながら書面で進めます。
話合いがまとまらない場合
実家が遺産分割前であれば、家庭裁判所の遺産分割調停を利用できます。調停では、居住者が取得する代償分割、売却して代金を分ける換価分割、共有で取得する方法などを話し合います。
調停が不成立になると、原則として審判へ移行し、裁判所が分割方法を判断します。
すでに遺産分割が終わり、共有名義となった後の共有関係を解消したい場合は、共有物分割請求を検討することがあります。どの手続きになるかは現在の名義と遺産分割状況によって異なります。
裁判所の手続きには時間と費用がかかるため、査定や費用資料をそろえ、可能な範囲で話合いによる解決を目指します。
よくある質問
Q.住んでいる兄弟を除いて実家を売却できますか?
A.不動産全体の売却はできません。遺産分割前なら相続人全員、共有名義なら共有者全員の合意・協力が原則として必要です。
Q.長年住んでいれば、その兄弟の家になりますか?
A.住んでいる期間だけで自動的に所有者になるわけではありません。遺言書、遺産分割、登記名義で確認します。
Q.住んでいる兄弟へ家賃を請求できますか?
A.親との使用貸借や相続人間の合意によって異なります。無償使用が認められる場合もあるため、個別確認が必要です。
Q.兄弟が固定資産税を払っていれば多く相続できますか?
A.税金の支払いだけで相続分が増えるわけではありません。ただし、立替費用として精算を検討できる場合があります。
Q.居住中でも不動産査定はできますか?
A.可能です。机上査定や、居住者の同意を得た現地調査を行い、売却・取得・保有を比較する資料にできます。
まとめ
相続した実家に兄弟の一人が住んでいても、全員の合意と退去・引渡し条件が整えば売却できます。
一方、住んでいる兄弟を無視して売却したり、直ちに退去させたりすることはできません。名義、居住開始の経緯、親との合意、費用負担を確認します。
全員売却、居住者による取得と代償金、期限付き居住を比較し、合意できなければ遺産分割調停などを検討します。売却を決める前でも査定や費用整理は進められます。
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すでに共有名義になっている場合は、共有持分を整理する前に確認したいこともあわせてご覧ください。
相談時点で退去や売却を決める必要はありません。名義、居住経緯、費用負担、今後の希望から整理できます。
参考文献・公的資料
※居住権原、使用料、費用精算、退去請求、調停・訴訟の進め方は個別事情により異なります。公開時点で最新情報を確認し、必要に応じて弁護士・司法書士・税理士へご相談ください。




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