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遺言書を作るときに不動産の記載漏れを防ぐ確認方法

  • 8月1日
  • 読了時間: 8分

遺言書に「自宅は長男へ」と書けば、不動産の承継先が明確になると思われがちです。しかし、自宅の土地と建物で名義が違う、私道持分が別にある、物置が未登記、祖父名義の土地が残っているなど、本人も把握していない権利が見つかることがあります。

不動産の記載が漏れたり、対象物件を特定できなかったりすると、相続開始後に遺言の解釈や遺産分割が必要になり、家族の負担が増える可能性があります。

重要なのは、固定資産税の通知書だけで財産を確定せず、複数の資料と登記情報を突き合わせることです。この記事では、遺言書を作成する前に不動産を漏れなく洗い出し、正確に記載するための確認方法を解説します。



なぜ遺言書から不動産が漏れるのか

不動産は、日常生活で使う住所と登記上の表示が異なります。郵便物に使う住居表示だけでは、土地の地番や建物の家屋番号を正確に特定できません。一つの自宅敷地が複数筆に分かれていることもあります。

また、固定資産税納税通知書や課税明細に記載された物件だけが、所有不動産のすべてとは限りません。非課税となる私道、共有持分、課税自治体が異なる遠方の土地、未登記建物などは、別の確認が必要になる場合があります。

過去の相続登記をしていない土地は、登記名義が親や祖父母のままでも、現在の権利関係を整理すると本人が相続する権利を持っている可能性があります。名義が自分でないという理由だけで一覧から外さないことが大切です。



不動産を洗い出すために集めたい資料

まずは次の資料を一か所へ集め、物件ごとに土地・建物・付属する権利を分けて記録します。


  • 固定資産税納税通知書・課税明細:課税されている土地・建物の所在、地番、家屋番号、持分などを確認します。


  • 名寄帳・固定資産評価証明書:自治体内で本人名義となっている固定資産を確認する手掛かりになります。取得方法や記載範囲は自治体へ確認します。


  • 登記事項証明書:登記上の所在、地番、地目、地積、家屋番号、種類、構造、床面積、所有者、持分、抵当権などを確認します。


  • 公図・地積測量図・建物図面:自宅敷地が何筆あるか、私道や隣接地との位置関係、建物の配置を確認します。


  • 売買・相続関係の書類:売買契約書、権利証・登記識別情報、遺産分割協議書、過去の遺言書などから取得経緯をたどります。


  • 現地資料:建築確認書類、賃貸借契約書、管理会社の資料、住宅地図、写真などから付属建物や利用状況を確認します。



記載漏れを防ぐ5つの手順

資料を一つずつ見るのではなく、候補を集めてから登記情報で確定し、遺言の記載へ落とし込む順番で進めます。


1.所有している可能性がある不動産を集める

自宅だけでなく、貸地、農地、山林、別荘、投資物件、駐車場、私道持分、マンションの敷地権、相続したまま使っていない土地を挙げます。本人の記憶だけに頼らず、通帳の固定資産税引落し、郵便物、確定申告書、家賃や地代の入金記録も確認します。


2.土地と建物を別々に一覧化する

一つの住所を一行にまとめず、登記上の土地一筆、建物一棟を基本として一覧にします。共有の場合は持分、マンションなら専有部分と敷地権、私道なら本体敷地とは別の地番も記録します。

建物が現地にあるのに課税明細や登記情報で確認できない場合は、未登記建物の可能性があります。増築部分、物置、車庫、古い離れも含め、税務上の登録と登記の有無を分けて確認します。


3.最新の登記事項証明書で物件表示と権利を確定する

固定資産税資料から候補を把握した後、法務局で最新の登記事項証明書を取得します。土地は所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積を確認し、遺言書や財産目録へ転記する情報を確定します。

所有者欄では単独所有か共有か、本人の持分はいくつかを確認します。抵当権が残っている場合や、登記名義が故人のままの場合も、財産一覧に注記して司法書士へ相談します。相続登記が未了なら、現在の相続人と遺言の対象にできる権利を先に整理する必要があります。


4.現地・家族の記憶と照合する

書類上の一覧を作ったら、現地の建物、門、物置、駐車場、通路、私道、賃貸部分などと照合します。家族にも、過去に相続した土地、親族と共有する土地、近隣へ貸している部分がないか確認します。

特に自宅前の私道は、自宅敷地と別の地番で共有持分だけを所有していることがあります。売却や建替えにも影響するため、遺言の対象から漏らさず、私道の登記と利用関係を確認します。


5.遺言の文案と財産目録を専門家に確認してもらう

一覧が完成したら、誰にどの不動産または持分を承継させるかを決めます。「自宅」「〇〇市の土地」だけではなく、対象を特定できる登記上の表示を用いることが基本です。文言の選択、予備的な受取人、遺言執行者、記載から漏れた財産の扱いは、家族関係や遺留分にも関わるため、司法書士や弁護士へ確認します。

自筆証書遺言では、財産目録をパソコンで作成したり、不動産の登記事項証明書のコピーを添付したりできます。ただし、自書でない財産目録は全ページへの署名・押印など方式上の要件があります。法務局の保管制度を利用する場合も、保管申請時に遺言内容の有効性まで審査・保証されるわけではないため、内容確認は別に必要です。



見落としやすい不動産・権利

  • 自宅敷地と別地番になっている私道・通路の共有持分

  • 一つの庭に見えても複数筆に分かれている土地

  • 増築部分、物置、車庫、離れなどの未登記建物

  • 祖父母や亡くなった配偶者名義のまま残る土地・建物

  • 兄弟姉妹や親族と共有している持分

  • 遠方の農地・山林・原野・別荘地

  • 賃貸物件の敷地、底地、借地上の建物など権利が分かれた不動産


課税されていない、収益がない、現地を使っていないという事情だけで、遺言に記載しなくてよいとは限りません。まず権利の有無と内容を確認し、その後に承継方法を判断します。



遺言書を作成した後も見直しが必要

遺言書作成後に不動産を売却、購入、贈与、分筆、合筆、建替えた場合、遺言書の記載と現在の財産が合わなくなることがあります。相続人の死亡、家族関係や承継方針の変化があった場合も見直しの機会です。

毎年書き直す必要はありませんが、固定資産税通知書が届く時期や、大きな資産移動の後に一覧と登記情報を確認すると管理しやすくなります。修正や追加は方式を誤ると問題になるため、古い遺言との関係を含めて専門家へ確認してください。



よくある質問

固定資産税納税通知書に載っている不動産を書けば十分ですか?

十分とは限りません。自治体が異なる不動産、非課税の私道、共有持分、未登記建物などを別に確認する必要があります。名寄帳や過去の契約書から候補を集め、最新の登記事項証明書と照合します。

住居表示だけでは土地の地番や建物の家屋番号を特定できない場合があります。登記事項証明書を確認し、土地と建物を分けて登記上の表示を正確に記載する方法を専門家へ確認してください。

未登記でも相続財産になり得ますが、登記上の家屋番号がないため、所在地、種類、構造、床面積などで対象を特定できるよう検討します。所有関係や表題登記の要否を土地家屋調査士・司法書士へ確認してください。

財産目録はパソコンで作成したり、登記事項証明書のコピーを添付したりできます。ただし、自書でない目録の全ページに署名・押印が必要になるなど要件があります。本文自体の自書要件と混同せず、法務省の案内を確認してください。

漏れに備える条項を検討することはありますが、誰に何を承継させるかという本人の意思を正確に実現するには、財産の洗い出しが基本です。遺留分や税金、遺言の解釈にも関係するため、条項だけに頼らず専門家へ確認します。


まとめ|資料を集め、登記で確定してから遺言へ反映する

遺言書の不動産記載漏れを防ぐには、固定資産税資料、名寄帳、契約書などから候補を集め、土地・建物・持分を一覧化し、最新の登記事項証明書で確定します。さらに現地と家族の記憶を照合すれば、私道や未登記建物、古い名義の不動産にも気づきやすくなります。

さくら都市デザインでは、遺言の作成そのものではなく、対象となる不動産の現況、価格、権利関係、将来の売却可能性を整理できます。承継させる不動産に未登記、共有、私道、境界などの課題がある場合は、司法書士・弁護士等へ相談する前段階からご相談ください。




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不動産の名義や必要書類、家族での事前確認については、次の記事もあわせてご覧ください。



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参考情報


※本記事は不動産の確認に関する一般的な情報です。遺言の有効性、遺留分、財産の特定、遺言執行などの法的判断は、司法書士または弁護士へご確認ください。税務は税理士、未登記建物の調査・表題登記は土地家屋調査士へご相談ください。

 
 
 

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