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相続した不動産はすぐに売るべき?残す場合との判断基準

  • 7月27日
  • 読了時間: 14分

更新日:7月30日


実家や土地を相続すると、「使う予定はないので早く売った方がよいのか」「思い出のある家なので残すべきか」「将来、子どもが住むかもしれない」と迷うことがあります。

相続した不動産は、必ずすぐに売らなければならないわけではありません。一方、結論を出さないまま保有すると、固定資産税や管理費、修繕費がかかり続け、建物の老朽化や相続人同士の意見の違いによって、後から選択肢が狭まることもあります。

判断のポイントは、現在の価格だけではありません。今後使う予定が具体的にあるか、年間の維持費を負担できるか、建物を安全に管理できるか、相続人の意見がまとまっているかまで確認する必要があります。

この記事では、相続した不動産を「売る・残す・貸す」の3つに分け、それぞれの特徴と判断基準を解説します。




この記事の結論

相続した不動産をすぐに売るかどうかは、次のように考えると整理しやすくなります。


結論|「具体的な利用計画」と「保有を続ける根拠」があるかで判断する

自分や家族が住む時期、賃貸に出すための費用と収支、管理を担当する人などが具体的なら、残す選択肢があります。一方、使う時期が決まっておらず、収益もなく、維持費や管理の負担だけが続く場合は、早めに売却を検討する合理性があります。ただし、売却を急ぐ前に、査定価格、権利関係、建物・土地の状態、利用できる税制上の特例を確認します。



相続した不動産を売る・残す・貸す場合の比較


相続した不動産の主な選択肢は、売却する、残して自分たちで使う、賃貸に出すの3つです。

比較項目

売却する

残して使う・保有する

賃貸に出す

主な目的

現金化・負担の整理

居住・将来利用・資産保有

賃料収入・将来利用

維持費

引渡し後は原則不要

継続して発生

賃料から賄える可能性がある

初期費用

測量・片付け・仲介手数料など

修繕・管理・保険など

修繕・設備交換・募集費用など

管理の手間

売却完了まで必要

継続して必要

入居者対応や建物管理が必要

相続人間の調整

売却条件と代金分配の合意が必要

使用者・費用負担のルールが必要

収入・支出・管理担当のルールが必要

主な注意点

売却時期や税金の確認

目的のない長期保有にならないか

収益性と賃貸需要を過大評価しない


どの方法にもメリットと注意点があります。「売らない方が得」「貸せば必ず収入になる」と一つの要素だけで判断せず、費用、手間、時間、家族の意向を含めて比較します。




相続した不動産を早めに売ることを検討したいケース


次の項目に複数当てはまる場合は、早めに査定を受け、売却を選択肢に入れた方がよいでしょう。


利用する予定が具体的に決まっていない

「いつか使うかもしれない」という可能性だけで残すと、何年も利用しないまま維持費がかかることがあります。

残す場合は、誰が、いつから、どのように使うのかを具体的にします。時期を決められない場合は、「2年後に再判断する」など、見直す期限だけでも設定します。


固定資産税や管理費の負担が重い

不動産を保有している間は、固定資産税・都市計画税、火災保険料、庭木の手入れ、清掃、修繕、現地までの交通費などが発生します。マンションであれば、管理費修繕積立金も必要です。

一つひとつは大きくなくても、5年、10年と積み重なると負担が増えます。まず直近1年間の支出を集計し、今後予定される修繕費も加えて確認します。



建物の老朽化が進んでいる

雨漏り、外壁や屋根の傷み、給排水設備の故障、庭木の繁茂などを放置すると、修繕範囲が広がる可能性があります。空き家は日常的な換気や通水が行われないため、使用中の住宅より劣化に気づきにくい点にも注意が必要です。

適切に管理されていない空き家が「管理不全空家」や「特定空家」として市区町村から勧告を受けると、敷地に適用されている固定資産税等の住宅用地特例から除外される場合があります。


遠方にあり、継続的な管理が難しい

遠方の実家では、室内の換気、郵便物の確認、庭木や雑草の手入れ、台風や大雨の後の点検などに時間と交通費がかかります。

管理会社や近隣の親族へ任せられる場合は保有も可能ですが、担当者が決まらないまま放置される可能性が高いなら、売却を含めて早めに方針を決めます。


相続人が現金で分けることを希望している

不動産は、そのままでは均等に分けにくい財産です。一人が取得して他の相続人へ代償金を支払う方法もありますが、取得する人に資金が必要です。

全員が利用を希望しておらず、維持費の負担者も決まらない場合は、売却代金から費用を精算し、残額を分ける方法が現実的なことがあります。


税制上の期限が関係する

相続した空き家を売却した場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。対象となる売却には期限があり、建築時期、利用状況、売却額などの要件もあります。

特例を利用できる可能性がある場合は、「まだ売らない」と決める前に税理士や税務署へ確認します。相続人が3人以上の場合は控除上限が2,000万円となるなど、個別条件によって扱いが異なります。



相続した不動産を残す選択肢があるケース


相続した不動産は、費用や管理上の問題がないのであれば、必ず売る必要はありません。次のような場合は、残すことに合理性があります。


自分や家族が住む予定が具体的にある

転勤や子どもの進学、親族の住み替えなど、利用者と利用時期が決まっている場合です。

ただし、居住開始まで数年空く場合は、その間の管理方法と費用を決めます。将来住むために大規模な改修が必要なら、改修費と周辺の代替住宅を購入・賃借する費用も比較します。


土地や建物に継続的な利用価値がある

駐車場、事業用地、二世帯住宅、親族の居住場所など、実際の使い道がある場合は保有を検討できます。

「価格が今後上がるかもしれない」という期待だけでなく、保有期間中にどのような便益があるかを確認することが大切です。


維持費と将来の修繕費を無理なく負担できる

現在の固定資産税だけでなく、外壁・屋根・給湯器・給排水管・擁壁など、数年から十数年単位で発生する費用も見込みます。

費用を負担する人と使用する人が異なる場合は、家族間で認識を合わせておきます。


管理する人と方法が決まっている

定期的に現地を確認する人、修繕を判断する人、税金や保険料を支払う人が決まっていれば、保有中の問題を発見しやすくなります。

共有名義で残す場合は、「誰かが管理してくれるだろう」と曖昧にせず、担当と費用負担を具体的に決めます。


相続人全員が保有方針に合意している

共有不動産の売却や大規模な変更には、共有者間の調整が必要です。現在は関係が良好でも、次の相続が起きると共有者が増え、意思確認に時間がかかることがあります。

残す場合は、当面の利用方法だけでなく、将来誰が取得するのか、どの時点で売却を再検討するのかも話し合います。




賃貸に出す前に確認したいこと


「売るのは惜しいので、とりあえず貸す」という判断には注意が必要です。賃貸は、建物を保有しながら収入を得られる方法ですが、すべての不動産に適しているわけではありません。

確認したいのは、想定賃料ではなく、必要経費を差し引いた後の手取りと将来の出口です。


賃貸需要があるか

周辺の募集賃料だけでなく、成約しやすい間取り・築年数・駅距離・設備を確認します。募集賃料が高くても、空室期間が長ければ年間収入は減ります。


貸し出すまでにいくらかかるか

残置物の処分、清掃、内装、給湯器やエアコンの交換、耐震・雨漏りへの対応などが必要になる場合があります。

改修費を何年分の手取り賃料で回収できるかを試算します。


毎年の手取りがいくら残るか

次の費用を差し引きます。

  • 管理委託料

  • 固定資産税・都市計画税

  • 火災・地震保険料

  • 修繕費

  • 入退去時の原状回復費

  • 空室期間の損失

  • 賃貸所得に対する税金


将来売却したくなったときの条件

入居者がいる状態では、自己居住用として購入する買主へ売りにくくなり、投資用不動産として収益性を基準に価格が判断される場合があります。

定期借家契約を含め、契約方法には法的な違いがあります。貸し出す前に、不動産会社や必要に応じて弁護士・税理士へ確認してください。


ここが判断のポイント|「貸せる」と「貸した方がよい」は別です

賃料が得られても、改修費や管理費、空室、将来の売却条件まで含めると、保有を続ける利点が小さいことがあります。反対に、需要があり、改修費を抑えられ、管理を任せられる場合は、賃貸が有効な選択肢になることもあります。


売るか残すかを決める7つの判断基準


迷ったときは、次の7項目を順番に確認します。


1.誰が、いつ、何のために使うのか

「将来使うかもしれない」ではなく、利用者、開始時期、利用目的を言葉にします。具体化できない場合は、保有を続ける期間を決めます。


2.年間の維持費はいくらか

税金、保険、管理、交通費、庭木、マンションの管理費・修繕積立金などを1年分で集計します。


3.今後どのような修繕が必要か

現在の不具合だけでなく、5年程度の間に想定される工事と概算費用を確認します。建物状況によっては、インスペクションや専門業者の調査も検討します。


4.売却した場合、手元にいくら残るか

査定価格から、仲介手数料、測量、解体、片付け、登記、税金などの費用を差し引いて考えます。

査定額だけで判断せず、複数の売却方法と手取り見込みを確認します。


5.賃貸した場合、手元にいくら残るか

満室時の賃料ではなく、空室と修繕を見込んだ年間手取りを計算します。最初に必要な改修費の回収期間も確認します。


6.相続人全員の考えは一致しているか

売る、残す、貸すの結論だけでなく、費用負担や管理担当についても確認します。

意見が違う場合は、「思い入れ」「利用希望」「価格」「時期」「費用」のどこで考えが分かれているのかを整理します。


7.判断や売却に関係する期限はあるか

税制上の特例、相続税の納税、建物の劣化、更新時期など、時間の経過で条件が変わる事項を確認します。

「今すぐ結論を出さない」場合でも、期限を把握したうえで再判断日を決めます。





ケース別|売る・残す・貸すの考え方


誰も住む予定がなく、遠方にある古い実家

管理費と修繕費が継続し、現地確認も難しいため、売却を優先して検討しやすいケースです。片付けや解体を始める前に、現状のまま査定を受けます。


数年以内に子どもが住む予定の実家

利用時期が具体的で、維持費と改修費を負担できるなら、残す選択肢があります。ただし、予定が変わった場合の再判断時期も決めておきます。


駅に近く、賃貸需要が見込めるマンション

管理状態と収支によっては賃貸が選択肢になります。管理費・修繕積立金、設備交換、空室を含めた手取りを試算し、売却時の手取りと比較します。


相続人の一人だけが実家を残したい

その人が不動産を取得し、他の相続人へ代償金を支払う方法などを検討します。取得後の維持費や修繕費を誰が負担するかも明確にします。


境界・私道・再建築などの問題がある

問題があるからといって、直ちに売却できないとは限りません。売却前にすべて解決する方法だけでなく、条件を整理したうえで現状のまま売却する方法もあります。



判断を先送りする場合に決めておきたいこと


家族の気持ちが整理できていない、相続直後で売却まで考えられないなど、すぐに結論を出せないこともあります。その場合、無理に売却を決める必要はありません。

ただし、次の事項は決めておきます。


  • 鍵を管理する人

  • 定期的に室内外を確認する人

  • 税金、保険、光熱費を支払う人

  • 庭木、郵便物、近隣連絡への対応者

  • 修繕が必要になった場合の判断方法

  • 費用を誰がどの割合で負担するか

  • 次に売却・保有・賃貸を話し合う日


実務上のポイント|「保留」は期限と管理担当を決めて初めて成り立ちます

相続不動産のご相談では、売却しないと決めたのではなく、家族間で話題にしないまま数年が経過しているケースがあります。その間に建物が傷んだり、共有者の一人に次の相続が発生したりすると、確認や調整に必要な時間が増えます。すぐに結論を出せない場合は、半年後や1年後など再判断する日を決め、査定価格と年間費用だけでも把握しておくことが大切です。


売るか残すか決める前に、現在地を整理しませんか


相続不動産の判断には、家族の思いだけでなく、査定価格、維持費、修繕、賃貸収支、権利関係、税制上の期限が関係します。

さくら都市デザインでは、相続した実家、共有名義の土地、空き家、私道や再建築の問題がある不動産などについて、売却・買取・活用の選択肢を整理しています。

売却すると決めていない段階でも、現在の状態と考えられる方法を確認できます。






相続不動産の売却・保有についてよくある質問


相続した不動産は、相続後すぐに売らなければなりませんか?

一律に売却期限が決まっているわけではありません。ただし、相続登記の申請期限、税制上の特例、相続税の納税、建物の管理状態など、時間とともに条件が変わる事項があります。売却しない場合も、期限と維持費を確認します。

相談や査定は可能です。査定を受けることで、売却した場合の価格や必要な手続きが分かり、保有・賃貸と比較しやすくなります。実際に所有権を買主へ移すまでには、相続登記が必要です。

相続直後に結論を急ぐ必要はありません。まず、保有にかかる年間費用、管理方法、建物の状態、査定価格を確認し、半年後や1年後に再検討する方法があります。保留中の管理担当と費用負担は決めておきます。


固定資産税以外にも、保険、庭木や清掃、修繕、防犯、現地確認などの負担があります。適切に管理されず、市区町村から管理不全空家等として勧告を受けると、敷地の住宅用地特例から除外される場合もあります。

可能ですが、入居者がいる状態では売却先や価格の考え方が変わることがあります。賃貸借契約の内容、改修費、手取り収支、将来の売却時期を確認してから貸し出します。

まず、意見が分かれる理由を整理します。価格への不満、思い入れ、自分で使いたい、将来値上がりすると思っている、費用負担を避けたいなど、理由によって検討方法が変わります。査定額、年間費用、必要な修繕費など、共通の資料を基に話し合うことが有効です。



まとめ|売却を急がず、判断は先送りしない


相続した不動産は、必ずすぐに売る必要はありません。具体的な利用予定があり、維持費や修繕費を負担でき、管理方法と家族の合意が整っているなら、残すことにも合理性があります。

一方、誰も使う予定がなく、収益も生まず、管理する人も決まっていない場合は、保有を続けるほど費用や調整の負担が増える可能性があります。

大切なのは、思い入れだけで急いで売ることでも、「いつか使うかもしれない」と判断を止めることでもありません。

査定価格、年間の維持費、将来の修繕費、賃貸時の手取り、相続人の意向、税制上の期限を並べ、売る・残す・貸すを比較します。結論を保留する場合も、管理担当と再判断日を決めておきましょう。



公的情報・確認資料


本記事の制度・税務に関する内容は、以下の公的機関の情報を基に確認しています。

※税制や適用要件は変更されることがあります。個別の税額や特例の適用は、税務署または税理士へご確認ください。



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売却、保有、賃貸のどれが適しているかは、不動産の状態や権利関係、ご家族の意向によって異なります。

さくら都市デザインでは、現在の状態を確認し、売却価格だけでなく、保有を続ける場合の負担や、整理すべき条件も含めてご提案します。





 
 
 

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