【2026年版】相続不動産を売却したときにかかる税金
- 8月1日
- 読了時間: 7分

相続した土地や実家を売却すると、「売却代金の何割が税金になるのか」「相続税を払ったのに、また税金がかかるのか」と心配になる方も少なくありません。
不動産の売却で中心となるのは、譲渡所得に対する所得税・復興特別所得税・住民税です。ただし、売却代金の全額に税率を掛けるわけではありません。被相続人が購入したときの取得費、売却に直接かかった譲渡費用、適用できる特別控除を差し引いて計算します。
この記事では、2026年に相続不動産を売却する場合の税率、計算方法、取得費が分からない場合の注意点、相続特有の特例、確定申告までを整理します。
相続不動産の売却で確認する主な税金
譲渡所得に対する所得税・復興特別所得税・住民税
土地・建物の売却で利益が出ると、給与などの所得とは分けて課税されます。課税対象は、売却代金から取得費、譲渡費用、一定の特別控除を差し引いた「課税譲渡所得」です。計算結果がマイナスで、ほかに課税対象となる譲渡所得がなければ、通常は売却益に対する税金は生じません。
売買契約書の印紙税
紙の不動産売買契約書を作成する場合は、契約金額に応じた印紙税がかかります。電子契約では課税文書を紙で作成しないため、一般に印紙税はかかりませんが、契約方法と保管書類を不動産会社へ確認してください。
登記が必要な場合の登録免許税
所有権移転登記の登録免許税は、通常、買主側が負担する契約が一般的です。一方、売主の住所・氏名変更登記、相続登記、抵当権抹消登記などが未了なら、売却前の登記費用や登録免許税が必要になることがあります。税金だけでなく司法書士報酬も見積もります。

税額計算は4段階
概算税額を知るには、まず次の計算式で課税譲渡所得を求め、その後に所有期間に応じた税率を掛けます。
1.売却代金を確認する
売買代金のほか、買主から受け取る固定資産税・都市計画税の精算金も、譲渡所得の収入金額に含まれます。手付金、残代金、精算金を決済明細で確認します。
2.取得費を差し引く
相続時の相続税評価額や売却時の査定額を取得費にするのではありません。原則として、被相続人が土地・建物を取得したときの購入代金、仲介手数料、購入時の税金、改良費などを引き継ぎます。建物は所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。
3.譲渡費用を差し引く
譲渡費用には、売却のために直接かかった仲介手数料、売買契約書の印紙税、測量費、立退料、土地を売るための建物解体費などが含まれることがあります。固定資産税、相続後の維持管理費、修繕費などは、支払っただけで譲渡費用になるとは限りません。
4.特別控除を差し引き、税率を掛ける
利用できる特例があれば、要件に従って特別控除等を反映します。その後、課税譲渡所得へ長期または短期の税率を掛けます。特例は併用できない組合せがあり、申告書への記載や添付書類も必要です。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率
区分 | 判定 | 所得税 | 住民税 | 合計税率の目安 |
長期譲渡所得 | 売却年の1月1日時点で5年超 | 15% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得 | 売却年の1月1日時点で5年以下 | 30% | 9% | 39.63% |
合計税率の目安には、所得税額の2.1%に当たる復興特別所得税を含みます。2026年中の売却では、原則として2020年12月31日以前の取得なら長期、2021年1月1日以後の取得なら短期です。
相続不動産は、相続開始日から数えるのではなく、被相続人の取得時期と所有期間を引き継ぎます。親が数十年前に購入した実家を相続直後に売却しても、長期譲渡所得となることがあります。

取得費と譲渡費用に含められるもの
取得費の確認には、被相続人の売買契約書、領収書、仲介手数料の資料、建築請負契約書、増改築資料などを探します。相続人が相続時に負担した一定の登記費用も、条件により取得費へ含められる場合があります。
譲渡費用は、今回の売却との直接的な関係が分かる請求書・領収書・振込記録を残します。仲介手数料、測量、解体など複数の費用があると、資料の有無で課税譲渡所得が大きく変わることがあります。
取得費が分からない場合
先祖代々の土地や古い実家で取得費が分からない場合は、売却代金の5%を概算取得費とすることができます。ただし、取得費が5%になると譲渡所得が大きくなり、税額が高くなりやすいため、すぐに資料なしと決めないことが重要です。
自宅内の契約書だけでなく、購入当時の通帳、住宅ローン資料、登記関係書類、建築会社の資料なども確認します。資料から取得費を合理的に確認できるかは個別判断になるため、税理士や税務署へ相談してください。
相続不動産で確認したい2つの特例
相続税の取得費加算の特例
相続税を納めた人が、相続・遺贈で取得した不動産を一定期間内に売却した場合、納付した相続税のうち一定額を取得費へ加算できることがあります。主な売却期限は、相続開始日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。
被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除
被相続人が住んでいた一定の家屋と敷地を相続し、期限内に売却するなどの要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる場合があります。2026年の売却も制度の対象期間内ですが、家屋の建築時期、区分所有でないこと、売却額、相続後の利用状況、耐震・解体など細かな条件があります。相続人が3人以上の場合は控除上限が1人当たり2,000万円となる場合があります。
取得費加算と空き家特例は同じ不動産の売却について併用できないため、適用要件と税額を比較します。空き家特例の詳細は次の記事で解説します。
税額の簡単な計算例
売却代金5,000万円、取得費2,000万円、譲渡費用200万円、特別控除なし、長期譲渡所得と仮定します。
5,000万円-2,000万円-200万円=課税長期譲渡所得2,800万円
税額の概算は、2,800万円×20.315%=約568万円です。実際には建物の減価償却、共有持分、取得費加算などで結果が変わります。この例をそのまま自分の税額として使わず、資料に基づいて計算してください。

確定申告の時期と準備
譲渡所得の確定申告は、原則として売却した年の翌年2月16日から3月15日までです。期限が休日に当たる年は翌開庁日になります。2026年中に売却した場合は、2027年の申告日程を国税庁で確認します。
売買契約書、取得時の資料、仲介手数料等の領収書、登記事項証明書、相続税申告書、特例の証明書類などを保管します。特例で税額がゼロになる場合でも、適用を受けるために確定申告が必要になることがあります。
よくある質問
相続税評価額を取得費として使えますか?
原則として使いません。被相続人が購入したときの取得費を引き継ぎます。相続税評価額と譲渡所得計算上の取得費は別のものです。
相続してすぐ売ると短期譲渡所得になりますか?
相続日から所有期間を数えるのではなく、被相続人の取得日を引き継いで判定します。親が長期間所有していた不動産なら、相続直後の売却でも長期になる場合があります。
売却代金より安く相続税評価されていても税金はかかりますか?
相続税評価額との差額で計算するわけではありません。売却代金から取得費・譲渡費用・特別控除を差し引いて利益が出るかを確認します。
売却で損失が出た場合、給与所得と相殺できますか?
一般的な土地・建物の譲渡損失は、原則として給与所得などと損益通算できません。一定の居住用財産には特例がありますが、相続不動産が対象になるかは利用状況等の確認が必要です。
税理士にはいつ相談すればよいですか?
売却後ではなく、価格や引渡時期を決める前が安心です。空き家特例や取得費加算には期限と要件があり、解体・耐震工事・引渡しの順序で適用可否が変わることがあります。
まとめ|売却前に取得費・所有期間・特例を確認する
相続不動産の売却税額は、売却価格だけでは決まりません。被相続人から引き継ぐ取得費と所有期間、売却に直接かかった費用、使える特例を確認して、課税譲渡所得を計算します。
さくら都市デザインでは、税務判断そのものではなく、相続不動産の査定、権利関係、売却条件、解体や測量を含む整理方法をご提案します。税理士へ相談する前に売却価格や課題を整理したい場合もご相談ください。
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参考情報
※本記事は2026年7月時点の一般的な情報です。税制・申告要件は個別事情や改正により異なります。具体的な税額、取得費、特例の適用可否は税理士または所轄税務署へご確認ください。




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