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相続登記しないとどうなる?放置するリスクと今から行う手順

7月29日
読了時間: 12分

更新日:9月7日

親や祖父母が亡くなった後も、実家や土地の登記名義が故人のまま残っていることがあります。

「固定資産税は払っているから問題ない」「売ることになったら、そのとき名義を変えればよい」と考えている方もいるかもしれません。

しかし、相続登記をしないまま時間がたつと、次の相続が発生して相続人が増えたり、必要な戸籍や書類の収集に時間がかかったりして、不動産を売却・活用したいときにすぐ動かせなくなることがあります。

さらに、2024年4月1日から相続登記が義務化されています。2024年4月1日より前に相続したことをすでに知っていた不動産についても対象となり、原則として2027年3月31日までの対応が必要です。

この記事では、相続登記をしないとどうなるのか、放置する主なリスク、期限を過ぎそうな場合の対応、今から確認したい資料と手順を整理します。


この記事の結論

相続登記を放置する問題は、10万円以下の過料の可能性だけではありません。

時間がたつほど法定相続人が増え、連絡調整や書類収集が難しくなり、不動産の売却・建替え・担保設定などを進める際の前提整理に時間がかかることがあります。

まず確認したいのは、次の5点です。

  1. 土地・建物の登記名義人は誰か

  2. 名義人が亡くなったのはいつか

  3. 現在の相続人は誰か

  4. 遺言書や遺産分割協議書があるか

  5. その不動産を誰が取得するか決まっているか

取得者が決まっていれば通常の相続登記を検討します。遺産分割がまとまらず期限内に通常の相続登記が難しい場合には、「相続人申告登記」によって申請義務を履行する方法もあります。

ただし、相続人申告登記は不動産の取得者や持分を確定する制度ではありません。将来売却する場合には、別途、取得者を確定して相続登記を行う必要があります。



相続登記をしないとどうなる?主な5つのリスク


1.期限を過ぎると10万円以下の過料の対象になる可能性がある

相続によって不動産を取得したことを知った場合、原則として、その日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。

正当な理由なく申請義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

ただし、「期限を1日過ぎたら自動的に10万円を支払う」という制度ではありません。すでに期限を過ぎている、または期限が分からない場合でも、そのまま放置せず法務局や司法書士へ確認することが大切です。


2.2024年4月より前の古い相続も義務化の対象になる

相続登記の義務化は、2024年4月1日以後に発生した相続だけが対象ではありません。

それ以前に相続したことをすでに知っていたものの、故人名義のままになっている不動産も対象です。このようなケースでは、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。

「父が亡くなったのは20年前だから対象外」「祖父名義なので昔の話」とは限りません。古い名義ほど、現在の相続関係を確認するところから始める必要があります。


3.次の相続が発生すると関係者が増える

相続登記をしないまま相続人の一人が亡くなると、その方の相続人にも権利関係が広がることがあります。

このように相続手続きが終わらないうちに次の相続が発生している状態を、数次相続といいます。

当初は兄弟2人で話せばよかった不動産でも、年月がたつことで、甥・姪や孫など複数の親族が関係する場合があります。人数が増えるほど、戸籍の収集、住所確認、連絡、遺産分割の話し合いなどに時間がかかりやすくなります。

すでに祖父母名義など数代前の名義になっている場合は、祖父名義の不動産を売却するには?数次相続の手順もあわせてご確認ください。


4.売りたいときにすぐ売却できない

故人名義のままでも、不動産会社へ相談したり、査定を受けたりすることはできます。

しかし、亡くなった方から買主へ直接所有権を移すことはできません。売却するには、現在その不動産を取得する相続人を整理し、必要な相続登記を行ったうえで取引を進めることになります。

買主が見つかってから初めて名義を確認すると、相続人調査や書類収集に時間がかかり、予定していた売却時期に間に合わないことがあります。

名義が故人のままでも売却準備をどこまで進められるかは、相続した不動産の名義が故人のままでも売却できる?で詳しく解説しています。


5.管理や不動産自体の問題まで複雑になる

相続登記が済んでいなくても、固定資産税、火災保険、草刈り、建物管理、修繕などの負担はなくなりません。

誰が費用を負担するのか決まらないまま長期間経過すると、相続人間で認識がずれることもあります。

また、相続した不動産が空き家の場合、建物の老朽化、残置物、境界、越境、私道、未登記建物など、登記とは別の問題が時間とともに表面化することがあります。

そのため、相続登記だけを単独で考えるのではなく、相続不動産として今後どうするのかも並行して確認することが大切です。


相続登記の期限はいつまで?


状況

原則となる期限の考え方

2024年4月1日以後に相続で取得した

不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内

遺産分割によって取得者が決まった

遺産分割成立日から3年以内に、その内容を反映する登記を行う

2024年4月1日より前から故人名義で、相続したことをすでに知っていた

原則として2027年3月31日まで

遺産分割がまとまらず通常の登記が間に合わない

相続人申告登記による期限対応を検討

注意したいのは、すべてのケースで「死亡日から3年」と数えるわけではないことです。

相続が発生した時期、不動産を取得したことを知った時期、遺産分割が成立した時期などによって確認が必要です。期限が近い場合や古い相続の場合は、自分だけで判断せず、法務局または司法書士へ確認してください。




相続人申告登記と通常の相続登記は何が違う?

相続人同士の遺産分割協議がまとまらず、3年以内に不動産の取得者を決められない場合があります。

そのようなときに、相続登記の申請義務を簡易に履行するための制度として「相続人申告登記」があります。

比較項目

相続人申告登記

通常の相続登記

主な目的

相続登記の申請義務への期限対応

不動産の取得者・持分を登記に反映する

遺産分割

まとまっていなくても利用できる場合がある

遺言・遺産分割など取得原因に応じて行う

所有者・持分

これだけでは確定しない

取得者・持分が登記される

売却

これだけでは売却のための名義整理は完了しない

売却時の所有者確認の前提となる

相続人申告登記は、「誰が不動産を取得するかを決める制度」ではありません。

期限対応と遺産分割は分けて考え、将来売却・保有・賃貸・建替えなどを行う場合には、その後に誰が取得するのかを整理する必要があります。


相続登記が終わっていない場合に今から行う5つの手順


1.登記事項証明書で現在の名義を確認する

まず土地と建物の登記事項証明書を確認します。

固定資産税の納税通知書が自分宛てに届いていても、法務局の登記名義が変更されているとは限りません。現在の名義人、共有者、共有持分、抵当権などを確認します。


2.相続人の範囲を確認する

登記名義人が亡くなっている場合は、戸籍などから現在の相続人を確認します。

数十年前の相続や数次相続では、途中で亡くなっている相続人がいないかも確認します。家族が把握している人数と、法律上確認すべき相続人の範囲が一致しないこともあります。


3.遺言書・遺産分割の状況を確認する

遺言書があるか、過去に遺産分割協議を行っているか、遺産分割協議書が残っているかを確認します。

「昔、兄が実家をもらうことで家族全員が納得した」という口頭の認識だけで、登記手続きまで終わっていないケースもあります。


4.その不動産を今後どうするか確認する

相続登記では「誰の名義にするか」が重要ですが、それだけを切り離して決めると、後で売却や管理の問題が出ることがあります。

売るのか、残すのか、誰かが住むのか、貸すのかを確認し、不動産の査定価格、年間維持費、修繕費、道路・境界なども整理すると、取得者を決めるための判断材料になります。


5.必要な専門家を分ける

  • 司法書士:相続登記、相続人申告登記、戸籍等の確認

  • 弁護士:相続人間の争い、遺産分割調停など

  • 税理士:相続税、売却時の税金など

  • 不動産会社:査定、現地・役所調査、売却・保有・活用条件の整理

登記の専門家と不動産の専門家では確認する内容が異なります。売却を考えている場合は、「相続登記が終わってから不動産を調べる」のではなく、登記と物件調査を並行して進めた方が全体の見通しを立てやすい場合があります。



相談前に用意しておきたい資料

すべてそろっていなくても相談は可能です。手元にある資料と「未確認」のものを分けておくだけでも、状況を整理しやすくなります。

資料・情報

確認できること

登記事項証明書

現在の登記名義、共有持分、抵当権など

固定資産税納税通知書・課税明細書

対象となる土地・建物、評価額、税額など

戸籍・除籍等

相続人の範囲を確認するための資料

遺言書

亡くなった方が示した財産の承継内容

遺産分割協議書

過去に相続人間で決めた財産の分け方

相続人の連絡先

今後の協議や手続きができるか

売買契約書・測量図・建物資料など

不動産の状態や売却条件を確認する材料

特に古い相続では、最初から完璧に書類を集めようとすると進みにくくなることがあります。まず登記名義を確認し、「誰が亡くなっているか」「何が残っているか」を整理してから必要書類を確認します。


早めに確認した方がよいケース

次のような場合は、相続登記と不動産調査を早めに始めることをおすすめします。

  • 現在も親・祖父母など故人名義のままになっている

  • 2024年4月1日より前から相続登記をしていない

  • 2027年3月31日の期限が関係する可能性がある

  • 相続人の一人が高齢である

  • 相続人が海外や遠方に住んでいる

  • 連絡先が分からない相続人がいる

  • すでに次の相続が発生している

  • 祖父母など数代前の名義になっている

  • 近いうちに売却・建替え・賃貸を考えている

  • 空き家の老朽化、境界、私道など別の問題もある

関係者が多い場合は、相続人が多い不動産を売却するには?進め方を解説も参考にしてください。


よくある質問

相続登記をしていないと、不動産を国に取られますか?

相続登記をしていないことだけを理由に、直ちに国へ取られるわけではありません。ただし、申請義務違反による過料の可能性や、時間の経過による権利関係の複雑化があります。

固定資産税の納税者と法務局の登記名義人は、必ずしも一致しません。登記事項証明書で現在の登記名義を確認してください。

期限を過ぎたことで相続登記そのものができなくなるわけではありません。期限を過ぎている可能性がある場合も、そのまま放置せず、速やかに法務局や司法書士へ相談してください。

期限への対応として相続人申告登記を検討できる場合があります。ただし、それだけでは遺産分割は解決しません。協議が難しい場合は、必要に応じて弁護士への相談や遺産分割調停なども検討します。

査定や物件調査は可能です。相続登記に必要な期間と、不動産の価格、境界、私道、建物状態などを並行して確認すると、その後の売却や保有の判断を進めやすくなります。



BOOK

『自分の不動産が“厄介”になった時に読む本』

底地・借地権、共有持分、相続、空き家など、売りたいと思っても簡単には話が進まない不動産があります。 本書では、実際の相談・調整事例をもとに、複雑な不動産をどのように整理し、解決へ進めていくのかを紹介しています。


著者:櫻井佑樹

さくら都市デザイン株式会社 代表取締役・宅地建物取引士





まとめ|相続登記は「期限」だけでなく将来の不動産整理まで考える

相続登記をしないままでも、すぐに生活上の問題が起こらないことはあります。そのため、何年も故人名義のままになっている不動産も少なくありません。

しかし、時間がたつほど相続人が増え、必要書類が集めにくくなり、不動産を売却・保有・活用するときの選択肢が狭くなる可能性があります。

まず、登記名義、相続人、遺言書、遺産分割の状況を確認し、通常の相続登記を進めるのか、期限への対応として相続人申告登記を検討するのかを整理します。

さらに、不動産を今後どうするか決まっていない場合でも、価格、維持費、建物、道路、境界などをあわせて確認しておくと、誰が取得するかを考えるための判断材料になります。


相続登記と不動産の整理を一緒に進めたい方へ

さくら都市デザインでは、相続登記前の段階から、相続した土地・実家・空き家などの価格査定、現地・役所調査、境界、私道、建物の状態などを確認し、売却・保有・活用の条件を整理しています。

「まだ誰の名義にするか決まっていない」「売るか残すかも決まっていない」「祖父名義のままで何から始めればよいか分からない」という段階でもご相談いただけます。

登記手続きが必要な場合には司法書士等と連携しながら、不動産側の確認も並行して進めます。






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公的情報・確認資料

相続登記の義務化、期限、過料、相続人申告登記などについては、法務省・法務局の最新情報もあわせてご確認ください。

※相続登記の期限や必要な手続きは、相続の発生時期、取得を知った時期、遺言・遺産分割の状況などによって異なる場合があります。個別の登記手続きについては法務局または司法書士、相続人間の法的な争いについては弁護士へご確認ください。

 
 
 

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