相続した不動産が再建築不可だった場合の売却方法
- 7月31日
- 読了時間: 7分

相続した実家を査定に出したところ、「この土地は再建築不可です」と初めて知らされることがあります。今ある建物を使えていても、解体後に新しい建物を建てられない可能性があるため、一般的な不動産より買主が限られ、価格や売却期間にも影響します。
しかし、再建築不可だから売却できないわけではありません。まず「なぜ再建築できないのか」を確認し、建築できる可能性、現在の建物の利用価値、隣地との調整余地を整理すれば、現況のまま売る方法や専門会社へ買い取ってもらう方法を比較できます。
この記事の結論
「再建築不可」という査定結果だけで決めず、道路・接道・私道と行政上の扱いを確認する
建築の可能性を確認しても、許可や調整が確実に得られるとは限らない
調整後の売却と現況売却を、売値ではなく費用・期間を引いた手取りで比較する
再建築不可とはどのような状態か
都市計画区域などでは、建物の敷地は原則として、建築基準法上の道路に2m以上接する必要があります。この接道義務を満たさない敷地は、現在建物が存在していても、原則として解体後の建替えができません。
代表例は、建築基準法上の道路に接していない、道路に接する間口が2m未満、敷地までの通路が他人の土地、接している道が建築基準法上の道路に該当しないケースです。前面が舗装され車が通れる道でも、法律上の道路とは限りません。
一方、幅員4m未満でも指定された2項道路に接している場合は、道路中心線などから後退するセットバックにより建替えられることがあります。「道が狭い=再建築不可」とは限らないため、道路種別と敷地の接し方を分けて確認します。
売却前にまず確認したい5項目
道路の種類
道路台帳、指定道路図、役所の建築指導担当窓口などで、建築基準法上の道路かを確認します。
接道幅と通路の形
接道が2m以上あるか、路地状部分の途中で幅が不足していないか、現地と図面を照合します。
土地の権利
通路や私道の所有者、持分、通行・掘削の権利や承諾書を確認します。
建物の状態
築年数、劣化、修繕履歴、雨漏り、傾き、設備を確認し、現況利用できる期間を考えます。
相続と名義
相続人、遺産分割、相続登記の進み具合を確認し、売却に必要な合意を整えます。

再建築できる可能性がないか確認する
過去の重要事項説明書や査定書に「再建築不可」と書かれていても、その理由と現在の行政上の扱いを確認します。道路指定の見落とし、接道幅の測定差、隣地との境界未確定など、調査によって判断材料が増えることがあるためです。
接道を満たさなくても、周囲の状況や安全上の条件により、建築基準法43条2項の認定・許可を受けられる可能性があります。ただし、基準は自治体や敷地条件で異なり、過去に近隣で許可例があっても、同じ結論になるとは限りません。売却広告で「再建築可能」と表示する前に、自治体や建築士へ個別に確認します。
隣地の一部を購入・交換・借用して接道幅を確保する方法もありますが、相手の同意、測量、分筆、登記、価格交渉が必要です。調整費用をかければ必ず売値が同額以上に上がるとは限らないため、着手前に「調整後の査定額」と「現況の買取額」を取っておくことが大切です。
再建築不可物件を売却する4つの方法
売却方法は、建物をそのまま使える期間、調整の見込み、相続人がかけられる時間と費用によって選びます。最初から一つに決めず、次の4つを比較します。

1.現況のまま仲介で売る
建物の状態が良く、居住・賃貸・倉庫などに使える場合は、再建築不可であることを明示して買主を探します。自己資金で購入する人や、立地と収益性を評価する投資家が候補です。ただし住宅ローンを利用しにくく、買主層が狭いため、通常物件と同じ価格や期間を前提にしない方が安全です。
2.隣地との調整で条件を改善してから売る
隣地の一部取得などに現実的な見込みがある場合は、接道条件を改善してから一般市場へ売る方法があります。買主層が広がる可能性がある一方、隣地の意向次第で期間が読めず、測量・登記・取得費用もかかります。先に売買条件を確定したり、相手へ強く迫ったりせず、土地家屋調査士、司法書士、不動産会社と手順を組みます。

3.隣地所有者へ売る
隣地所有者にとっては、庭・駐車場の拡張、土地形状の改善、将来の一体利用につながる場合があります。一般の買主より価値を見いだす可能性がありますが、相手が必ず購入するわけではなく、先に事情を詳しく伝えることで価格交渉が一方的になることもあります。市場価格と専門買取価格を把握してから打診します。
4.再建築不可に対応する会社へ買い取ってもらう
現況のまま早く整理したい、建物が老朽化している、私道や隣地調整も必要という場合は、再建築不可物件を扱う会社の買取が選択肢です。仲介より価格が低くなる傾向はありますが、買主探しが不要で、残置物や測量、隣地調整を含めて相談できる場合があります。買取価格だけでなく、売主が負担する作業・費用、契約条件、引渡し後の責任を比較します。
解体は売却方法が決まる前に行わない
老朽化した実家を見ると、先に解体して更地にした方が売りやすいと考えがちです。しかし再建築不可物件では、既存建物を取り壊すと新たに建てられず、利用価値が下がる場合があります。解体費も回収できるとは限りません。
危険な建物への応急対応は必要ですが、解体契約の前に、建物付きと更地の査定、再建築の可否、税金への影響を確認します。売却を急ぐ場合も、建物を残した条件と解体後の条件を同時に査定し、手取りを比べてから判断します。
売却時に買主へ伝える内容
再建築の制限、道路種別、接道幅、私道持分、通行・掘削承諾、過去の行政相談、建物の不具合など、価格や利用判断に関わる情報は不動産会社へ正確に伝えます。「おそらく許可が取れる」「近所も建て替えた」といった未確認情報を確定事項として説明しないことが重要です。
役所での調査記録、道路台帳・指定道路図、登記事項証明書、公図、測量図、私道の承諾書、建築確認・検査済証、修繕履歴を整理すると、買主が条件を判断しやすくなります。不明点を隠すのではなく、「確認できたこと」「未確認のこと」「今後必要な手続き」を分けて示します。
よくある質問
Q.再建築不可でも住宅ローンで買ってもらえますか?
A.利用できる場合もありますが、担保評価や将来の建替えに制限があるため、一般的な物件より融資先が限られる傾向があります。現金購入者や別の担保を用意できる買主を含めて販売方法を考えます。
Q.リフォームして住み続けることはできますか?
A.通常の修繕が可能な場合はありますが、工事規模、建物の構造・状態、法令によって確認申請や制限が関係します。大規模な改修を前提にせず、建築士と自治体へ工事内容を示して確認してください。
Q.43条2項の許可が取れれば再建築できますか?
A.認定・許可の対象となる可能性はありますが、敷地や通路、安全上の条件を個別に審査します。将来の建築計画でも同じ判断になるとは限らないため、自治体と建築士への事前確認が必要です。
Q.隣地を少し買えば必ず再建築可能になりますか?
A.接道幅だけでなく、道路種別、通路全体の幅、自治体の条例、敷地形状なども関係します。購入前に想定範囲を測量し、建築士や行政へ確認します。
まとめ
相続した不動産が再建築不可でも、現況利用の価値や隣地との関係により売却方法は残されています。最初に道路・接道・私道・建物・相続名義を確認し、行政や専門家の調査で再建築の可能性を整理します。
そのうえで、現況のままの仲介、隣地との調整、隣地所有者への売却、専門会社の買取を比較します。売値だけではなく、測量・登記・解体などの費用、調整期間、売主の負担を差し引いた手取りと確実性で判断することが大切です。
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相談時点で売却を決める必要はありません。道路・接道、建物状態、隣地との関係を整理し、調整後の売却と現況買取を比較できます。
参考文献・公的資料
※再建築の可否、認定・許可、道路種別、改修の可否は、所在地・建築計画・個別事情により異なります。自治体の建築指導担当窓口、建築士、土地家屋調査士、司法書士などへご確認ください。




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