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借地人が信頼する不動産会社を交えて底地を売却|条件調整の末、借地人が土地を購入した事例

9月10日
読了時間: 6分

地主・借地人が直接交渉しにくい中、双方の意向を整理して約半年で売却した事例

東京都杉並区にある約30坪の底地について、地主から売却のご相談を受けました。

地主は60代の女性で、相続によって土地を引き継いでいました。地代収入はあるものの、一般的な賃貸不動産と比べると収益性は高くなく、自分で自由に利用できる土地でもありません。

また、借地人とはほとんど面識がなく、直接会って話したり、価格交渉を続けたりすることにも負担を感じていました。

そのため、今後の管理や対応の手間を減らす意味でも、底地を売却して資産を整理したいという意向でした。

一方の借地人は70代の女性で一人暮らし。地主とは、更新など必要な手続きがあるときに連絡を取る程度で、普段から交流がある関係ではありませんでした。

借地人側も、「地主側から依頼を受けている不動産会社だけと交渉すると、自分に不利な条件になるのではないか」という不安があり、以前から売買や管理を任せていた不動産会社へ相談しました。

その後は、借地人側の不動産会社を通じて本人の考えや今後の希望を確認しながら、底地を購入する方法だけでなく、借地権を売却する方法も含めて整理。

最終的には、借地人が融資を利用して底地を購入し、約半年で取引を完了しました。


項目

今回のケース

所在地

東京都杉並区

底地面積

約30坪

借地上建物

戸建住宅

地主

60代女性

借地人

70代女性・一人暮らし

地主の取得経緯

相続

地主の希望

底地を売却して管理負担を減らしたい

借地人側の特徴

信頼する不動産会社へ相談

検討した方向

底地購入・借地権売却など

購入方法

保有不動産も活用して融資を利用

最終結果

借地人が底地を購入

全体期間

約半年


相続した底地だったが、借地人とはほとんど面識がなかった

地主は相続によって底地を取得していましたが、借地人と日常的な付き合いがあったわけではありません。

もともと両者の間では、更新など必要な手続きの際に連絡を取る程度で、相続後もその関係は大きく変わっていませんでした。

地主としては、今後も地代の管理や更新対応を続けるより、底地を売却して手間を減らしたいという考えがありました。

一方で、借地人と直接会ったり、価格について何度も交渉したりすることは避けたいという意向もありました。

そこで、当社が地主側の窓口となり、借地人との調整を進めることになりました。



借地人側には、以前から信頼する不動産会社がいた

借地人へ訪問し、その後改めて打ち合わせの機会を設けると、以前から付き合いのある不動産会社の担当者が同席していました。

借地人としては、地主側から依頼を受けている当社と一対一で話を進めることに不安があり、自分が信頼する担当者にも内容を確認してもらいたいという考えでした。

その担当者は、借地人が保有する別の不動産の売買や管理も任されており、今回だけの関係ではありません。

相手方の不動産会社にとっても継続的な顧客であるため、今回の提案が借地人にとって不利益にならないかを慎重に確認しながら交渉が進みました。


打ち合わせを重ねながら、借地人の考えを把握

最初から借地人の考えがすべて明確だったわけではありません。

相手方の不動産会社と何度か打ち合わせを重ねる中で、次のような点が少しずつ分かってきました。

  • 底地を購入するのか、借地権を売却するのか

  • 今後も自宅に住み続けたいのか

  • 将来の住み替えをどう考えているのか

  • どの点に不安を感じているのか

そこで、一方的に条件を提示して結論を求めるのではなく、これまでの底地・借地権の調整経験と今回の借地人の意向を踏まえ、説明内容そのものを組み立て直しました。


相手方の不動産会社が説明しやすい資料を作成

今回、特に意識したのが説明資料です。

借地人本人へ当社からすべてを直接説明できるわけではなく、相手方の不動産会社を通じて内容を伝えてもらう場面が多くありました。

そこで、口頭だけで認識の違いが生まれないよう、借地人の状況や検討できる選択肢を整理した資料を作成しました。

ただし、資料を作って渡すだけではありません。

まず相手方の不動産会社へ説明し、「分かりにくい点はないか」「借地人へ説明しづらい部分はないか」「追加で確認したいことはないか」と確認しながら内容を整えました。

また、地主側の主張だけに偏らないよう、底地を購入するメリットだけでなくデメリットも説明しています。

借地人からすれば、地主側の会社である当社から直接説明されるよりも、長く信頼している担当者から整理して聞いた方が、内容を受け止めやすい面があります。

相手方の担当者自身にも内容を十分理解してもらうことで、借地人に伝わるまでの認識違いをできるだけ減らしました。



約半年で底地を借地人へ売却

今回の取引では、地主と借地人が直接価格交渉を行う形ではありませんでした。

地主側は当社が窓口となり、借地人側には以前から信頼している不動産会社が入り、それぞれの意向を確認しながら条件を整理しました。

最終的には、当社が地主から取得する契約を行い、借地人側の不動産会社を介して借地人へ売却しています。

地主としては借地人との交渉を自分で行う必要がなく、借地人側も信頼する担当者へ相談しながら判断できる形となりました。

全体では約半年で取引を完了しています。


この事例から分かること

借地人側に別の不動産会社が入ったからといって、必ずしも交渉が難しくなるわけではありません。

今回も、相手方には守るべき顧客がいるため、地主側の希望だけを伝えて簡単に話がまとまったわけではありませんでした。

借地人の意向を確認し、相手方の担当者が説明しやすい材料を整え、地主にも経過を共有しながら条件を調整したことが最終的な合意につながっています。

また、底地の売却では、最初から「借地人に土地を買ってもらう」と決める必要もありません。

底地を購入してもらう方法、借地権を売却してもらう方法など、地主・借地人双方の事情を確認しながら現実的な方向を探すことが重要です。


厄介不動産の整理事例を書籍でも紹介しています


書籍『自分の不動産が“厄介”になった時に読む本』では、底地・借地権、共有不動産、相続、私道など、複数の関係者との調整が必要な不動産について、さまざまな事例を交えながら整理の考え方を紹介しています。

底地と借地権の問題では、価格だけでなく、地主と借地人それぞれの事情や、関係者との調整が重要になることがあります。





一都三県で底地の売却を検討している方へ

相続した底地について、「借地人とほとんど面識がない」「借地人と直接価格交渉をしたくない」「借地人が別の不動産会社や専門家へ相談している」「借地人への売却以外の整理方法も含めて検討したい」という場合でも、現在の借地条件や双方の意向を確認することで、進め方を整理できることがあります。

底地の売却方法を最初から一つに決めるのではなく、地主側・借地人側それぞれの事情を確認しながら、現実的な選択肢を検討することが大切です。





 
 
 

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