借地人が住む底地を売却した事例|自宅は借地人が購入、古アパートは借地権を整理

地代収入がほとんど残らない底地を、相続前に整理した事例
東京都北区にある約40~45坪の底地について、70代半ばの地主様から整理のご相談を受けました。
借地上には、同じ借地人が所有する自宅と2戸の小規模アパートがあり、地主様は長年にわたって地代を受け取っていました。ただ、地代は坪600円台と低く、固定資産税を差し引くと手元に残るのは月1万円にも満たない程度です。
ご自身も70代半ばとなり、「このまま子どもに残すより、ある程度の金額になるのであれば現金化したい」と考えるようになったことが、今回の整理を検討するきっかけでした。
最終的には、土地全体を同じ方法で処理していません。自宅部分は借地人自身が底地を購入し、古いアパート部分は借地権を手放してもらうことで、それぞれ別の形に整理しました。
所在地 | 東京都北区 |
土地 | 約40~45坪 |
地主 | 70代半ば・男性 |
借地人 | 70代・女性 |
建物 | 自宅+2戸の小規模アパート |
地代 | 坪600円台 |
最終的な整理 | 自宅部分は借地人が購入、アパート部分は借地権を売却 |
期間 | ご相談から最終売却まで約11か月 |
売却経緯|収益性の低い底地を相続前に整理
地主様は、大手企業で長く営業部門の管理職を務めた後、定年退職されていました。
底地について話を始めた当初は、必ずしも売却に積極的だったわけではありません。地代収入は少ないものの、底地として売却しても大きな金額にならないのであれば、わざわざ手放す意味もないという考えです。
過去にも不動産会社から売却の話を聞いたことがありましたが、提示された金額には魅力を感じなかったとのことでした。当社から最初に査定価格をご提示した際も、「今まで聞いた会社よりはいい。ただ、この金額で売っても大してお金にはならない」という率直な反応でした。
そこで、底地をそのまま売る場合だけでなく、借地人との権利調整が進んだ場合まで含めて条件を検討。価格面だけでなく、借地人との話し合いを任せられるかどうかも見極めていただいたうえで、具体的な整理へ進むことになりました。
借地人との関係と初期対応
地主様との話がまとまった後、借地人へご挨拶にうかがいました。
しかし、すぐに売却条件を話せる状況ではありません。地主様と借地人は数十年前に地代をめぐって揉めており、それ以来ほとんど連絡を取っていなかったためです。
借地人からは、「なぜ地主本人から先に話がないのか」「土地を売るのであれば、こちらにも一言あってよかったのではないか」といった不満もあり、当初は現在の条件よりも、過去の経緯について話を聞く時間の方が長くなりました。
そこで結論を急がず、約4か月にわたって十数回ほど足を運びました。何度も顔を合わせるうちに少しずつ警戒が解け、話題も地主との過去から、借地人自身のこれからへと変わっていきました。

借地人の将来意向を踏まえた底地購入の提案
借地人は70代の女性で、ご主人はすでに他界していました。近隣との関係は良く、できれば住み慣れた自宅で暮らし続けたいという希望がある一方、将来的には施設へ入る可能性や、その際に自宅を売却して終活や施設費用に充てることも現実的に考えていました。
以前には不動産の今後について弁護士へ相談したこともあったそうですが、その時点では差し迫った問題ではなく、具体的な整理には至っていませんでした。
当初、借地人は底地を購入することについて「買っても意味がないのではないか」と考えていました。ただ、将来自宅を売却する可能性まで含めて考えると、土地と建物が同じ所有者にまとまっている方が売却を検討しやすくなり、地主との地代や更新についても気にする必要がなくなります。
こうした点を説明しながら話を重ねる中で、自宅部分については借地人自身が底地を購入する方向へ考えが変わっていきました。
相続前に底地を整理すべきか迷っている方へ
「地代収入が少ない」「借地人と長年話をしていない」「このまま子どもに残してよいのか分からない」といった段階でも、最初から売却方法を決める必要はありません。
底地だけの売却、借地人への売却、借地権と合わせた整理など、現在の権利関係や双方の意向を確認しながら検討できます。
自宅部分とアパート部分で異なる整理方法を選択
借地人は自宅のほか、同じ借地上に2戸の小規模アパートも所有していました。入居していたのは1戸だけで、建物も古くなっています。
老後について話す中で、自宅とアパートに対する考え方の違いも明確になりました。自宅には今後も住み続けたい一方、古いアパートについては将来まで所有し続けたいという強い希望はありません。
そこで、自宅部分については底地を購入し、反対にアパート部分については借地権を手放す方法を検討しました。
自宅の底地を購入するには資金が必要ですが、アパート部分の借地権を売却すれば、その分の売却代金を受け取れます。双方の価格や必要な費用を調整した結果、借地人の資金負担を大きく増やさずに、自宅を所有権にしながら古いアパートを整理できる形が見えてきました。

入居者対応と最終的な権利整理
アパートには20代の会社員の女性が1名住んでいたため、事情を説明したうえで退去についても話し合いました。立退きに伴う費用に加え、次の住まい探しにも対応し、最終的に移転先が決まったことで合意に至っています。
その間に測量や土地の分筆などを進め、自宅部分は借地人が底地を購入。土地と建物の両方を借地人自身が所有する形になりました。
一方のアパート部分は、地主様が所有していた底地と借地人の借地権をまとめて取得し、建物を解体したうえで、所有権の土地として売却しました。
ご相談から地主様との契約までは約1か月。その後、借地人や入居者との調整などを進め、最終的な売却まで含めると約11か月の案件となりました。
この案件で大切だったこと
今回のポイントは、土地全体を一つの方法で整理しようとしなかったことです。
地主様は収益の少ない底地を相続前に整理したい。一方の借地人は、自宅には住み続けたいものの、古いアパートまで残したいわけではありませんでした。
そこで、自宅部分は借地人が底地を購入し、アパート部分は借地権を手放すという別々の方法を組み合わせました。
底地の整理では、売却価格だけを見ても答えが出ないことがあります。地主と借地人がそれぞれ今後その不動産をどうしたいのかを確認することで、今回のように複数の方法を組み合わせた整理ができる場合があります。
厄介不動産の整理事例を書籍でも紹介しています

書籍『自分の不動産が“厄介”になった時に読む本』では、底地・借地、共有不動産、私道、相続など、一般的な不動産売却とは異なる問題について、さまざまな事例を交えながら整理の考え方を紹介しています。
本記事とは異なる底地・借地のケースも掲載しています。
一都三県の底地・借地の整理をご検討の方へ
「固定資産税を払うと地代収入がほとんど残らない」
「借地人と長年連絡を取っていない」
「自分の代では困っていないが、子どもには底地を残したくない」
このような底地では、借地人に購入してもらう方法、底地だけを売却する方法、借地権と合わせて整理する方法など、状況によって選択肢が変わります。
まだ売却すると決めていない段階でも、現在の権利関係や借地人との状況を確認しながら、整理方法をご相談いただけます。





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