共有名義の不動産を売却するには全員の同意が必要?
- 8月1日
- 読了時間: 7分

兄弟姉妹や親子で共有している土地・建物を売りたいと考えたとき、「持分が一番多い人の判断で売れるのか」「一人だけ反対していても進められるのか」と迷うことがあります。
結論からいうと、共有名義の不動産全体を第三者へ売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。持分の過半数を持つ人だけでは、ほかの共有者の持分まで売却できません。一方、自分が所有する共有持分だけであれば、ほかの共有者の同意を得ずに売却できます。
ただし、法律上売却できることと、納得できる価格・条件で円滑に整理できることは別です。この記事では、全体売却と持分売却の違い、全員で合意する内容、同意が揃わない場合の選択肢を整理します。
売却対象によって必要な同意が変わる
最初に、「不動産全体を一つの物件として売る」のか、「自分の持分だけを売る」のかを分けて考えます。
不動産全体を売却する場合
土地・建物全体の所有権を買主へ移す売却は、共有物を処分する行為です。各共有者が自分の持分を買主へ移転する必要があるため、原則として全員の同意と協力が必要になります。
例えば、Aが2分の1、BとCが4分の1ずつ持っている場合、Aの持分が最も多くても、Aだけで不動産全体を売ることはできません。売買契約、本人確認、所有権移転登記に向けてBとCの意思も確認します。
自分の共有持分だけを売却する場合
共有者は、自分の持分を原則として単独で処分できます。Aが持つ2分の1だけを売る場合、BとCの同意は法律上の必須条件ではありません。売却後は買主が新しい共有者になります。
もっとも、持分だけを買う人は、不動産全体を自由に使用・売却できません。そのため、一般の個人が居住用として買うケースは限られ、全体売却と比べて価格が低くなりやすい傾向があります。共有者への事前説明がないまま第三者へ売ると、関係がさらに悪化する可能性もあります。

全体売却で全員が合意する内容
「売ること」だけ合意していても、条件が決まっていなければ契約直前に話が止まります。査定を取る段階で、次の項目を共有者間で整理します。
売出価格と、値下げを受け入れられる下限
仲介か買取か、依頼する不動産会社
売却代金を各持分に応じてどう受け取るか
仲介手数料、測量費、解体費、残置物処分費などの負担
引渡時期、占有者の退去、鍵や書類の引継ぎ
境界、越境、未登記建物、抵当権などの対応
売却代金は持分割合に応じて受け取るのが基本です。異なる割合で分配すると、共有者間の贈与と判断される可能性があるため、特別な事情がある場合は税理士等へ確認します。
全員が同席できない場合も売却は進められる
共有者が遠方に住んでいる、仕事や体調の事情で契約・決済へ参加できない場合でも、直ちに全体売却が不可能になるわけではありません。本人の売却意思を確認したうえで、持ち回り契約や、適切な委任状を用いた代理手続きを検討できます。
ただし、不動産会社や司法書士による本人確認は必要です。署名押印だけを別の共有者へ任せるのではなく、委任する範囲、売却条件、代金の受取方法を明確にします。
共有者が認知症等で売却の内容を理解して意思表示できない場合、家族が代わりに同意するだけでは進められません。成年後見制度の利用や家庭裁判所の許可が必要になる場合があり、居住用不動産かどうかでも手続きが異なります。

共有者全員の同意が揃わない場合の選択肢
反対者がいる状態で全体売却を強行することはできません。まず反対理由が価格、時期、居住継続、費用負担、感情的な対立のどれにあるかを分け、次の方法を比較します。
条件を調整して全体売却を目指す:複数査定や手取額の試算を共有し、最低価格、売却時期、退去時期を具体化します。
共有者間で持分を売買する:不動産を残したい共有者が、売りたい人の持分を買い取ります。資金調達と適正価格の確認が必要です。
自分の持分だけを第三者へ売る:早期に共有関係から離れられる可能性がありますが、価格と他共有者への影響を確認します。
共有物分割を協議・請求する:協議がまとまらない場合、裁判所へ共有物分割を求める方法があります。現物分割、価格賠償、競売などの結果があり、希望どおりの売却になるとは限りません。
裁判手続きは時間と費用がかかり、親族関係への影響も大きくなります。訴訟を前提にする前に、不動産の現実的な価格と各人の希望を整理し、弁護士などの専門家を交えた協議も検討します。

売却前に確認する書類と権利関係
登記事項証明書で、共有者の氏名、持分割合、抵当権や差押えの有無を確認します。住所・氏名が現在の情報と異なる場合は、所有権移転登記の前提として変更登記が必要になることがあります。
相続が発生しているのに故人名義のままなら、現在の相続人と遺産分割の状況を確認し、原則として相続登記を済ませてから売却します。土地と建物で共有者が異なる、私道持分が別にある、未登記建物があるケースもあるため、一つの登記だけで判断しません。
実務では、権利証または登記識別情報、印鑑証明書、本人確認書類、固定資産評価証明書などを準備します。必要書類は物件と登記状況で変わるため、契約前に司法書士と確認します。
よくある質問
持分の過半数があれば不動産全体を売れますか?
原則として売れません。共有物の管理に関する一定の事項は持分価格の過半数で決められますが、不動産全体の売却は各共有者の持分を処分するため、全員の同意が必要です。
共有者の一人が勝手に結んだ全体売却の契約はどうなりますか?
その人だけでは他共有者の持分を買主へ移転できません。契約の内容や権限によって法的評価が異なるため、署名や押印を求められてもすぐに応じず、契約書と登記を弁護士等へ確認してください。
自分の持分を売る前に、共有者へ知らせる義務はありますか?
一般的な共有持分では、他共有者の同意は原則不要です。ただし、共有者間の契約や個別事情がある場合は別です。関係悪化を避けるため、他共有者による買取の意向を先に確認する方法もあります。
共有者が海外や遠方にいても全体売却できますか?
本人の意思確認と必要書類を整えれば、持ち回り契約や代理手続きにより進められる場合があります。海外居住者は署名証明などが必要になることがあるため、早めに司法書士へ確認します。
共有者が一人でも反対したら、永遠に売れませんか?
全体売却は進められませんが、条件調整、共有者間の持分売買、自分の持分の売却、共有物分割などの選択肢があります。目的と費用、時間、価格への影響を比較します。
まとめ|全体売却と持分売却を分けて考える
共有名義の不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の同意と協力が必要です。一方、自分の共有持分だけなら単独で売却できますが、全体売却より買主が限られ、価格や共有者との関係に影響することがあります。
さくら都市デザインでは、共有者、持分割合、利用状況、売却への意向を確認し、全体売却、共有者間の持分移転、持分買取などの現実的な選択肢を整理します。全員の話がまとまっていない段階でも、現在の持分と物件状況からご相談いただけます。
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参考情報
※本記事は2026年7月時点の一般的な情報です。共有者間の契約、占有状況、相続、担保権、判断能力などにより必要な手続きは異なります。具体的な法律・登記手続きは弁護士、司法書士等へご確認ください。




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