共有者が亡くなって名義がそのままの場合、不動産を売却できる?
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兄弟や親子で共有していた不動産について、共有者の一人が亡くなった後も登記名義が変わっていないことがあります。残る共有者だけで売却できるのか、亡くなった人の家族全員から印鑑をもらうのか分からず、手続が止まるケースも少なくありません。
結論からいうと、亡くなった共有者の名義のまま、その持分を含む不動産全体の売却を完了することは通常できません。戸籍等で相続人を確認し、遺言や遺産分割によって持分の承継先を確定させ、相続登記をしたうえで現在の権利者が売却手続に関与します。
この記事では、共有者の死亡が判明してから相続登記、不動産全体の売却へ進む順序と、相続人の一部が協力しない場合の考え方を解説します。
亡くなった共有者の名義のままでは売却が進まない
共有持分は、共有者が亡くなると相続の対象になります。残る共有者の持分が過半数であっても、亡くなった人の持分を無断で買主へ移すことはできません。不動産全体を売るには、亡くなった共有者から持分を承継した人を明らかにする必要があります。
売買条件の相談や査定は相続登記前でもできますが、買主への所有権移転登記まで進めるには、原則として先に相続による名義変更が必要です。売却を急ぐ場合も、相続人が確定していない段階で無条件の売買契約を結ぶと、期限までに登記や同意が整わず、違約金などの問題が生じるおそれがあります。

売却までの5つの手順
1.土地・建物の登記名義を確認する
まず登記事項証明書を取得し、亡くなった人が所有する不動産と持分割合を確認します。土地だけでなく、建物、私道持分、離れた場所の土地が別登記になっていることもあります。2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度では、一定の範囲で、亡くなった人が登記名義人となっている不動産を一覧的に確認できます。
2.戸籍を集めて相続人を確定する
亡くなった共有者の出生から死亡までの戸籍等を取り寄せ、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹など、相続順位に従って相続人を確認します。遺言書、相続放棄、養子、前婚の子、亡くなった子の代襲相続があると、関係者が当初の想定と変わる場合があります。
死亡から長期間が経過し、相続人も亡くなっていると、次の相続が重なる「数次相続」になります。相続人の人数と必要書類が増えやすいため、早い段階で相続関係図を作ることが重要です。

3.誰が持分を相続するか決める
有効な遺言で持分の取得者が指定されていれば、その内容と遺留分などを確認します。遺言がない場合は、相続人全員による遺産分割協議で、一人が持分を取得するのか、複数人で承継するのかを決めます。
不動産全体を売る予定なら、亡くなった人の持分を誰が承継するかだけでなく、売却価格、費用負担、手取金の分け方まで共有しておくと、その後の対立を防ぎやすくなります。法定相続分で相続登記をする方法もありますが、共有者がさらに増え、売却時に必要な署名や本人確認が増える点に注意が必要です。
4.相続登記を申請する
承継内容が決まったら、戸籍、遺産分割協議書、印鑑証明書など、原因に応じた書類を揃えて相続登記を申請します。2024年4月1日から相続登記は義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が必要です。施行前に発生した相続で未登記の場合も対象になります。
期限内の遺産分割が難しいときは、相続人申告登記によって申請義務を簡易に履行できる場合があります。ただし、相続人申告登記は持分の承継先を公示する相続登記ではないため、それだけで不動産を売却することはできません。売却前には別途、正式な相続登記が必要です。
5.現在の共有者全員で売却する
相続登記後は、登記名義人となった相続人と、もともとの共有者全員で売買条件を決めます。売買契約、本人確認、必要書類の準備、決済・所有権移転登記へ進みます。相続人が遠方にいる場合は、司法書士による本人確認や委任状の準備期間も見込んで日程を設定してください。

相続人の一部が協力しない場合
相続人が売却に反対している
不動産全体の売却は、反対する相続人の権利を無視して進められません。査定額、税金・費用、手取額、売却時期、空き家の管理負担を資料で示し、反対理由を確認します。遺産分割自体がまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停・審判を検討します。
相続人の所在が分からない
戸籍の附票等を含めて所在を調査し、それでも不明な場合は、不在者財産管理人など裁判所の手続を検討します。単に疎遠、電話に出ない、郵便へ返答しないという事情だけで、直ちに不在者として処理できるわけではありません。
相続人に意思能力の問題がある
認知症等により売却や遺産分割の内容を理解して判断できない場合、家族が代わりに署名することはできません。成年後見制度等が必要になることがあり、本人の利益に配慮して家庭裁判所の関与を受ける場合もあります。
相続人が多いケースの進め方は、相続人が多い不動産を売却する方法もあわせてご確認ください。
よくある質問
亡くなった共有者の持分が少なくても、相続手続は必要ですか?
必要です。持分が小さくても、その権利を残る共有者が無断で処分することはできません。承継先を確定し、相続登記をしてから全体売却へ進みます。
相続登記前に不動産会社へ査定を依頼できますか?
査定や売却方法の相談は可能です。査定額を遺産分割の判断材料にもできます。ただし、買主への所有権移転までに相続人の確定と相続登記を終える必要があります。
相続人申告登記をすれば売却できますか?
相続人申告登記だけでは売却できません。これは申請義務を簡易に履行するための制度で、持分の承継先を確定して公示するものではないため、売却時には正式な相続登記が必要です。
共有者が亡くなってから何年も経過していますが、手続できますか?
手続は可能ですが、数次相続によって相続人が増え、戸籍収集や合意形成が複雑になることがあります。相続登記の義務化も踏まえ、早めに権利関係を調査してください。
相続人の一人だけで自分の法定相続分を登記できますか?
法定相続分による相続登記を相続人の一人から申請できる場合はあります。ただし、その後の全体売却には現在の権利者全員の関与が必要です。遺産分割の方針と矛盾しないか、司法書士等へ確認しましょう。
まとめ|相続人と持分の承継先を確定してから売却する
共有者が亡くなり名義がそのままの場合、残る共有者だけで不動産全体を売却することはできません。登記上の持分と対象不動産を確認し、戸籍で相続人を確定したうえで、遺言または遺産分割に沿って相続登記を行います。
さくら都市デザインでは、共有者側の相続が未整理の不動産について、相続人の人数、持分割合、占有・管理状況、売却への意向を整理し、司法書士や弁護士等と連携しながら売却方法をご提案します。
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参考情報
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。遺言、相続放棄、数次相続、遺留分、担保権、占有状況等によって必要な手続は異なります。具体的な法律・登記・税務上の判断は、弁護士、司法書士、税理士等へご確認ください。




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